“鏡の魔女”テレサリサと“雪の魔女”ファンネルは、
キャンパスフェローの女騎士ヴィクトリアと共に
船に乗り、
大陸を南下していた。
彼女たちの傍らには、
九使徒の一人・召喚師ココルコとの
死闘で重傷を負ったまま、
ファンネルの魔法で凍らせた黒犬ロロの身体があった――。
一行が向かう先は共和国イナテラの<港町サウロ>。
大陸最南端の町である。
町に伝わる人魚のおとぎ話には、大切なものと引き換えに、
どんな願いも叶えてくれる“海の魔女”が登場する。
“海の魔女”には、死にかけた男を蘇らせたという逸話もあった。
肉体に何らかの変化を作用させる魔法の使い手なら、
ロロの重傷を癒やし、
瀕死の状態から
復活させることができるかもしれない。
ただし彼女は、イナテラ海で名を馳せる海賊の一人でもある。
海を行き来する貿易商人や探検家たちにとって、
“海の魔女”はまさに海の厄災。
話が通じるかどうかもわからない相手だった……。
一方、“鏡の魔女”たちが船で
南下中との報告を受けた
王国アメリアの九使徒たちもまた、
魔女を追って
行動を開始していた。